鬼滅の刃
『鬼滅』の社会現象化は、少し目線を変えると、報道される内容とは異なる興味深い側面が見えて来る(写真はイメージです) 写真:つのだよしお/アフロ

なぜこれほどのヒットに?
『鬼滅』をもっと楽しむ別の視点

 街角経済評論家を自称するわりには新型コロナ自粛で長らく映画館から足が遠のいていた私ですが、先週末、久しぶりに映画館に出かけることにしました。『UFO真相検証ファイルPart 2』という映画を見ようと思ったのです。

 イオンシネマで上映しているという話だったので、オンライン予約しようとサイトをチェックしてびっくりしました。1日1回しか上映していないのです。それも、夜の8時45分スタートという微妙な時間帯です。これでは、日曜夜のドラマ『麒麟がくる』(NHK)も『危険なビーナス』(TBS系)も見ることができませんし、自宅に帰ると家族は寝静まっている時間になります。泣く泣くあきらめ、代わりに『鬼滅の刃』を見ることになりました。

 さて、アニメ第一期も見終え、雑誌連載の本編も最終回まで読了している私としては、映画『鬼滅の刃』のヒットについては織り込み済みだったとはいえ、これほどまでの社会現象になるとは予想していませんでした。そこで今回は、「鬼滅通」でも気づいていないかもしれない社会現象について、3つの疑問を提示してみたいと思います。

 1つ目の疑問は、映画館のスクリーンの何割を『鬼滅』が制覇しているのかです。

 今、映画を見たい人から普段は映画なんて見ないという人まで、世の中の多くの人が『鬼滅の刃』を見たくなっている状態です。40年くらい前の経済学では、このようなときに大ヒット映画はロングラン上映になるものでした。『スターウォーズ(第一作・エピソード4)』『E.T.』などの時代の話です。

 その理由は、映画館のスクリーンの数が限られていたからです。当時はシネコンが存在しなかったので、大ヒット映画は銀座でも新宿でも、数館の上映館で行列して見るのが当たり前の時代。公開直後はめちゃくちゃ混雑するのがわかっているので、映画をじっくり見たいと思う人は、封切り後1~2カ月くらいたってから映画館に出向いたものです。

 ところが現在はシネコン全盛なので、需要の多い映画にはそれだけたくさんスクリーンを提供できるようになります。そうなると経済学の原理通りの現象で、ヒット作品が上映されるスクリーンの数が増加します。