米国と欧州諸国は1990年に世界の半導体の4分の3以上を生産していた。しかし現在、そのシェアは世界の4分の1以下に縮小している。日本・韓国・台湾・中国が生産国として台頭し、米国と欧州からシェアを奪っている。中国は、2030年までに世界最大の半導体生産国となる勢いだ。半導体生産の中心地の変遷は、米国以外の国々がしばしば国内産業育成を目的とした工場建設に資金面で巨額のインセンティブを提供していることが一因になっている。また半導体各社が米国外のサプライヤー網の充実や、高価な製造機械を扱える熟練エンジニアの増加に引き付けられているという面もある。過去数十年に製造業は米国から海外に移っていったが、世界最大級の半導体企業の多くは依然として米国に本拠を置いている。売上高で米最大の半導体企業インテルは、アイルランド、イスラエル、中国などに工場を開設しているが、製造工程の大半を米国内で行っている。しかし、米国の他の複数の大手半導体メーカーは、台湾積体電路製造(TSMC)などのアジア企業に、製造工程のすべてを委託している。例えば、半導体企業として時価総額が米最大で、カリフォルニア州サンタクララに本社を構えるエヌビディアは、半導体製造の大半を米国外で行っている。2019年の段階で、米国に本社を置く企業が世界の半導体売上高に占めるシェアは47%前後となっている。