男性の生きづらさの原因とは 

 自分の心で生じている感情や感覚を認知・認識できないことだと思っています。男性の話を聞いていると、なんとなく不安を感じたりイライラしたりしているけれども、その感情の正体や原因が拾い上げられていない人が多いです。

――「男性が感情を表現するのは望ましくない」といった規範があるので、感情を認識したり伝えたりするのが困難なのでしょうか。

 分析するとそうなるのですが、僕自身もジェンダーの問題に気づくまで、自分が男らしさの抑圧や呪縛の中にいるなんて意識したことがなかったです。そもそも「生きづらい」と感じているかさえ分からない人も少なくないのではと思います。

――生きづらさの種類を例示されると、自分が「つらい」と感じていることを認識できるものの、日々生きているなかでモヤモヤした感情を言語化していくのは難しいのかもしれないですね。

 外から提示されたことで初めて「嫌だ」という感情に気づくこともあると思うんです。ただ、類型化されたものは、おおむね正しくても完全に個人にフィットするわけではない。その少しの違いが言語化されていないので、自分の感情を言語化し、自分で認識し伝えることとは少し違うと思います。

男性が感じている高収入と成果のプレッシャー

――男性の生きづらさでは、経済的なプレッシャーがよく挙げられます。清田さんも経済的な期待を感じてきたことがありますか。

 結婚の話も出た過去の彼女との関係では、彼女の親戚に呼び出され、月収や貯金、将来的な親の介護について問い詰められ、苦しい思いをしたことがあります。ただ、僕自身は自営業の家庭でバブル崩壊の影響も経験してきているので、小さい頃から「収入は努力や能力よりも景気に左右される」という感覚を持っていました。

 一方で僕は1980年生まれで、世代的に「好きな仕事をすることや面白いことをやることが魅力的」という価値観を感じていました。一見、高収入プレッシャーとは違うように見えるのですが、自分がしたいことを優先するのではなく「好きな仕事をしていないとダサいと思われる」と周囲の評価を気にしている点では同じです。同世代の男性に負けたくないという思いを持ち、有名な人に認められたとか、本を出版できたとか、わかりやすい成果を残さなければならないと思っていました。