世界に数多くのスーパーエリートを輩出してきたハーバード大学経営大学院(以下、ハーバード)では数多くの日本企業が授業の中で取り上げられている。中でも、ハーバードの学生に強い印象を与えているのが、トヨタ自動車だ。その独自のオペレーション「トヨタ生産方式」については、毎年900人*の学生たちが学ぶ必修科目で取り上げられているという。世界のエリートたちはトヨタから何を学んでいるのか。『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)を上梓した佐藤智恵氏が解説する。
*新型コロナウイルス感染拡大に伴い一部入学延期を認めたため、今年入学した学生は732人となっている(HBSウェブサイトより)

テスラ社員も感銘を受けた
「トヨタ生産方式」

 ハーバードの「トヨタの授業」を毎年900人のエリートが必ず受ける理由
ハーバードのトヨタの授業が学生に大きな影響を与えている理由とは? Photo:Smith Collection/Gado /Getty Images

 日本に住んでいると、今も昔もトヨタ自動車は当たり前のように存在しているので、その価値を改めて認識する機会は少ないですが、ハーバードで取材をしているといかにトヨタが世界の人々に大きな影響を与えてきたかを実感します。ハーバードの学生に「日本企業について学ぶ授業の中でどの授業がいちばんあなたの考え方を変えましたか」と聞くと、ほとんどの学生が「トヨタの授業」と答えます。

 今年インタビューした学生の中で最も印象的だったのは、インド出身の学生です。彼は大学卒業後、インドの農業機械メーカーでトヨタ生産方式を学び、アメリカの大学院に留学した後、電気自動車メーカーのテスラに就職。その後、2019年にMBA取得を目指してハーバードに入学しました。

 彼は、初期の頃のテスラでエンジニアチームのリーダーを任された際、それまで学んできたトヨタ生産方式の知識や考え方をフル活用したというのです。