麻布十番男性と女性が「住みたい街」には、なぜこうも差が生まれるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

男女の「棲み分け」は
これだけ進んでいる

 男性と女性は、実は住む場所を棲み分けしている。それは、その街の男女比を見ればわかる。これは隣駅でも変わってくる。たとえば、白金高輪駅は男の街で、白金台駅は女の街になる。男の街には川が流れ、女の街は高台にある。

 こうなる理由はいくつかあり、その理由がわかれば、自分が今なぜその街に住んでいるのかが理解できる。「住めば都」は昔の話で、現代人は「自分が都に思える街に住んでいる」のが実態なのである。

 人口の男女比(人口性比)は区ごとに差がかなり大きく出る。2015年の国勢調査によると、都区部の平均は男性が女性の97%ほどしかいない。これは、生まれるときにはほぼ同数なのに、男の方が早死にするからである。そんな中、男比率が一番高いのは台東区で107%になり、平均を10%も男が上回っている。これは2位の豊島区の102%を大きく上回る。この他、江戸川区、中野区、千代田区が100%を超え、大田区、新宿区が続く。

 これに対して、男性比率が最も低い(女性比率が最も高い)のは、港区で89%と低く、次いで目黒区(東急東横線沿線)とおしゃれな場所が続く。3位以降は、世田谷区、中央区、渋谷区、杉並区、文京区と続く。

 男と女のエリア選定の根本的な違いは、女性は治安がよくおしゃれな街を好むのに対して、男性はアクセスの良さと物価の安さに惹かれることだ。女性の方が男性よりも総じて所得は少ないので、住居費の負担は女性の方が大きいが、そこが女性には譲れないポイントなのだ。そこで、立地を変えずに家賃負担を下げたいなら、女性は面積や築年を譲歩することを考えることになる。

 外見や美容にうるさい女性が多く住む街は健康志向が強く、長寿の傾向がある。世田谷区や杉並区はその代表格になる。女性は治安が悪い街には住みたがらないので、結果的に男性が多く住む街は治安が悪い場所が多い。台東区や豊島区は、昔からドヤ街などがあったりした。