片瀬江ノ島新型コロナで「人気のある街」の条件も変わりつつある。コロナ時代の今こそ住むべき関東の「狙い目の街(駅)」はどこなのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新型コロナで世の中のトレンドが一変する中、「人気のある街(駅)」の条件も変わりつつある。リクルートが運営する日本最大級の不動産サイト『SUUMO』では、コロナ禍前に「住民に愛されている街ランキング」を発表した。実際に自分が住んでいる街について好きかどうか、住民の本音を聞いたところ、毎年恒例の「住みたい街ランキング」とは全く違う結果が出た。当時の調査結果などを基に、コロナ時代の今こそ住むべき関東の「狙い目の街(駅)」はどこなのかを、リクルート住まいカンパニー『SUUMO』編集長の池本洋一氏が詳しく教える。

コロナ禍で注目したいのは
住みたい街より「愛されている街」

 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活や意識を大きく変えました。住まいに対する価値観の変化も、その1つでしょう。

 在宅時間が増えたことにより、家そのものへの関心が高まり、住まいに快適性や新しい機能を求める傾向が現れ始めています。また、地元で過ごす時間が長くなったことで、暮らす街自体にも高い利便性が要求されるようになってきました。

 そこで今回は、「SUUMO」が関東を対象にコロナ禍前に実施した調査の結果などを踏まえ、「コロナ禍を経て選ばれる街(駅)」をテーマに、私の考えを述べたいと思います。今後、人気が上がりそうな街の傾向を知り、街選びの参考にしていただければ幸いです。

 SUUMOでは毎年、「住みたい街ランキング」を発表していますが、2020年はそれに加えて「住民に愛されている街」の調査も行いました。実際に住んでいる街(駅)について好きかどうかをシンプルに聞いたもので、従来の住みたい街ランキングとは全く違う結果が出ています。

片瀬江ノ島、馬車道、みなとみらい…
「住民に愛されている街」の共通点

 憧れや知名度のある駅、JRのターミナル駅が上位を占める「住みたい街」に対し、「住民に愛されている街」には、私鉄沿線や急行電車が止まらない駅も多くランクインしています。

 もう少し細かく分析すると、1位となった「片瀬江ノ島」、2位「馬車道」、3位「みなとみらい」、10位「鵠沼海岸」などに共通するのは、海が近い点、そして街に独自の個性やカルチャーがある点です。身近に海があることは、のびのび子育てをしたい人にとっては魅力的だし、すでに “特徴が見えている”ことは、これから移住する人にとっても安心なポイント。街のカラーを理解した上で移住してくる人が多いため、新規の住民もなじみやすいと考えられます。

 なお、「鵠沼海岸」では藤沢市鵠沼にある築90年の家屋(国登録有形文化財)をコミュニティスペースとして活用し、住民同士がワークショップやヨガ&ランチ会を催す動きもあります。こうした街の人々のオープンな姿勢も、住み心地の良さにつながっているのでしょう。藤沢市はゴミの個別回収など行政サービスがよく、財政健全度が高いのも魅力です。