兵庫県豊岡市で50代の三男が、同居する90代の母親と無理心中したとみられる事件が起きた。引きこもりや「8050問題」に認知症、障害、貧困…。複合的な要因で生活が危機的状態にある「困難家族」の状況が悲劇につながった象徴的事例だ。その当事者たちが見ていた心の風景とは、どのようなものだったのか。(ジャーナリスト 池上正樹)
引きこもりや「8050問題」に認知症…
「困難家族」を象徴する悲劇
複合的な困り事で生活が危機的状態にあると思われながら、周囲がサポートできない「困難家族」に関わる相談が増えている。
「引きこもり」状態や80代の親が引きこもる50代の子どもの生活を支える「8050問題」に、認知症、障害、貧困…。筆者は、全国各地の自治体などからの依頼で講演や研修会に出かけるたびに、周囲はどのように向き合えばいいのか苦悩する困難な事例が、どこの地域にも数多くあることを実感する。
12月7日、兵庫県豊岡市の住宅で50代の三男が、同居する90代の母親と無理心中したとみられる事件は、そんな「困難家族」の状況が悲劇につながった象徴的事例だ。その当事者たちが見ていた心の風景とは、どのようなものだったのか。