知的資産を持つ会社は、莫大な利益を稼ぐ

林教授 特許権とか、のれんといった無形固定資産は貸借対照表に載るからまだ分かりやすい。だが本当に強力な現金製造機は目に見えないだけじゃなく貸借対照表にも載らないのだよ。

カノン それって、どのようなものがあるのですか?

林教授 優秀な人材、優れた技術、強力な組織力、顧客とのネットワーク、ブランド力。会計では「知的資産」と呼んでいる。知的資産を持つ会社の利益を稼ぐ能力は凄まじい。

カノン 例えば、どんな会社ですか?

林教授 例に挙げたシャイアーはもとより、君も知っているGAFA、つまりグーグル、アップル、フェィスブック、アマゾンはみな「知的資産」で莫大なお金を稼いでいる。

カノン どうやって稼いでいるのですか?

林教授 世界中から優秀な人材を集め、世界最先端の情報技術力を駆使している。そして今や人類が今まで経験したことのない世界を作り出している。

カノン 「知的資産」は目には見えないし、貸借対照表に載らないのなら、どうすればそれを確認できるのでしょうか。

林教授 まずは損益計算書で利益率を計算してみることだ。強力な「知的資産」を持つ会社の利益率は他社と比べて圧倒的に高いからね。

カノン どのくらいすごいのか、知りたいです。

林教授 新聞によると、GAFAの平均税引き前当期利益率は約20%だ。(日本経済新聞2019年2月16日)。固定資産が少ないから総資産利益率(ROA)も高い。

林 總(はやし・あつむ)
公認会計士、税理士
明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授
LEC会計大学院 客員教授
1974年中央大学商学部会計学科卒。同年公認会計士二次試験合格。外資系会計事務所、大手監査法人を経て1987年独立。以後、30年以上にわたり、国内外200社以上の企業に対して、管理会計システムの設計導入コンサルティング等を実施。2006年、LEC会計大学院 教授。2015年明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授に就任。著書に、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『新版わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(KADOKAWA/中経出版)、『ドラッカーと生産性の話をしよう』(KADOKAWA)、『正しい家計管理』(WAVE出版)などがある。