累計38万部超のベストセラー『餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林 總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』が9月29日にダイヤモンド社から発売になりました。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしていきます。登場人物は、林教授と生徒の川村カノンの2人。知識ゼロから始めて、いかにして決算書を読み解くスキルを身につけていくのか? 川村カノンになったつもりで、本連載にお付き合いください。

武田薬品工業は、なぜ、売上高の3年分以上の現金を払って、外国の製薬会社を買収したのか?Photo: Adobe Stock

現金製造機とは固定資産のこと

カノン 先生、貸借対照表の左側にある「現金製造機」の説明をしていただけますか?

林教授 典型的な現金製造機は貸借対照表の「固定資産」だ。これがあるからお金が増えるんだ。これまで君に説明した現金製造機は、目に見えて手で触ることができる「有形固定資産」のことだった。

だが「現金製造機」は目で見えるものとは限らない。それが「無形固定資産」だ。意外かも知れないがこちらのほうが性能がいいんだよ。

カノン より効率的にお金を製造できるってことですか?

林教授 その通り。

無形固定資産は見えない現金製造機

カノン 無形固定資産には、どのようなものがあるのでしょうか?

林教授 コンピュータのソフトウェアや特許権だね。いちばん金額が大きくて重要なのは、のれん代だ。

カノン のれん代って、老舗の信用のことですか?

林教授 一般にはそうだが、会計では別の意味で使われる。「のれん」はお金を生み出す力、会計っぽく言うと「超過収益力」のことだ。「のれん」そのものには形がない、つまり、経営にとって重要な「見えない現金製造機」なのだ。

カノン 具体例を知りたいですね。