コロナ禍でインターネット通販市場が伸びる中、世界の業界最大手である米アマゾンはますます強くなる一方だ。そんなアマゾンに日本のある出店者が疑問を抱き、法的手段に訴えるまでに。特集『世界が変わる GAFA解体指令』(全11回)の#5では、出店者が目の当たりにした「謎だらけのアマゾン」を伝える。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
突如のアカウント停止
出店者が法的措置に踏み切るまで
「えっ!アカウント停止って、どうして?」。中国地方に住む北原かなえさん(仮名)は、メール画面を前に絶句した。2020年5月上旬のことだった。
北原さんはその前月、副業として生活消耗品などを販売する目的で、米アマゾン・ドット・コムの日本サイト(アマゾンジャパン)にアカウントを開設した。「サードパーティー」と呼ばれる出店者のアカウントだ。ところがアマゾンは、開設して半月ほどしかたたない北原さんのアカウントを、一時停止するとメールで通告してきたのだ。
コロナ禍での通販需要をつかまえようという北原さんの副業計画は、瞬く間に暗礁に乗り上げた。そして、巨大企業を相手に法的手段を講じるに至る一連の事態が幕を開けたのだ。