世界が変わる GAFA解体指令#8

楽天といえば、日本では圧倒的な規模を誇るインターネット企業。いわば和製GAFAだ。その楽天が進める戦略が、出店企業から強い疑念と反感を集めている。いったい何が起こっているのか。特集『世界が変わる GAFA解体指令』(全11回)の#8で、その深層をリポートする。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

ランキング上位占める
楽天の直営店舗

 2020年12月下旬。楽天が運営する電子商取引(EC)サイト「楽天市場」で、年間ランキングが発表された。20年の楽天市場内の売上高、売り上げ個数を基に決定した1年間の人気商品と店舗が一目で分かるランキングだ。

 それによると、総合部門で第1位を獲得した商品は天然水の「クリスタルガイザー」で、取扱店舗は爽快ドリンク。第2位はネットベビーワールドという店舗の紙おむつ「パンパース」で、第3位が楽天ブックスのゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」とされている。

「全部、楽天の直営店じゃないか」。がくぜんとした楽天市場のある出店者は、楽天が人気商品ばかりを直販で取り扱っていることに懸念を示す。プラットフォーム運営者の楽天が、自ら直営店で商品を販売することは、他の出店者にとっての脅威になるからだ。

 楽天市場に生活用品を扱う店舗を出店する原口美由紀さん(仮名、40代)は、「楽天がうちの売れ筋商品を扱いだして、その日を境に売り上げが急減してしまいました」と嘆く。

 原口さんによれば、自社で扱う商品を楽天市場で検索すると、楽天の直営店ばかりが上位に来るという。「もう楽天は直営店に振り切ってしまったようですね。私たちをないがしろにしているのではないかと思います」。出店者の疑念は日に日に深まっている。