グーグルが進める、世界の報道機関に記事の対価を支払う取り組み。対価は初期投入額で1000億円に上る。ドイツやブラジルなど先行導入国に続いて、日本市場でも実施する見通しだ。特集『世界が変わる GAFA解体指令』(全11回)の#7では、いったいどのメディアが1000億円の分け前をもらえるのかを占う。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
青息吐息のメディア各社
「1000億円ばらまき」にありつく企業は?
日本のメディア業界は今、青息吐息だ。この数年来急激に進行したデジタルシフトが、業界各社に厳しいモデル変革を迫っている。これに新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけ、販売収入と広告収入の両面で痛手を受ける企業が相次いでいる。こういった中、業界でひそかに注目を集めているのが、米グーグルが日本を含む世界のメディアに宣言した「大盤振る舞い」の行方である。
グーグルは2020年10月、新サービス「グーグル・ニュース・ショーケース」を発表。各国のメディアに記事の使用料を払い、一般ユーザーには無償でそれらの記事を提供するものだ。これに世界のメディアがざわつく理由は、グーグルがサービス導入と同時に、「当面、メディアに対して幾ら払うか」を明言したからだ。その額、10億ドル(約1035億円)である。
グーグルはこれまで新規サービスを、ベータ版のようにひっそりと立ち上げることが多かった。それがニュース・ショーケースの場合、サンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)が声明を出して大々的にアナウンス。なおかつ「初期投資額」まで明言したのだから確かに注目に値する。