世界が変わる GAFA解体指令#6

水、電気、ガスそしてグーグル。インターネット検索やメール、地図といったグーグルのサービスは、現代人の生活に欠かせないインフラとなっている。特集『世界が変わる GAFA解体指令』(全11回)の#6では、グーグルが自社に都合の良いようにネット空間を分断していると非難される理由に迫る。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

本拠地の米国で相次ぐ提訴
グーグル帝国が袋だたきに合う

 2020年はインターネット産業の歴史に残る1年になるだろう。

 米司法省は20年10月、検索エンジンの世界最大手、米グーグルを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴した。インターネット検索や広告分野で圧倒的なシェアを奪い、公正な競争を妨げていると訴えている。さらに12月には、米テキサス州をはじめ10州も同法違反を訴えて提訴に踏み切っている。巨大IT企業GAFA(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)4社の中で、最も大きな司法リスクを抱えているのがグーグルだ。

 米国では過去に独禁法違反で、通信大手のAT&Tが企業分割に追い込まれている(1984年)。また98年には、マイクロソフトが司法省に独禁法違反で提訴され、政治とビジネスを巻き込んだ数年がかりの激しい論争に発展。マイクロソフトにとっては経営上の最大の難局となった。今回のグーグルの訴訟は、巨大テクノロジー企業に対する大型独禁法訴訟としては約20年ぶりだ。AT&T、マイクロソフトに対する打撃と同様に、グーグルとネット産業にとっては、この訴訟が極めて大きなターニングポイントになるのは必至だ。

 テキサス州のケン・パクストン司法長官は公式ツイッターで、「自由市場を野球に例えるならば、グーグルはピッチャー、バッター、そして審判をしている」とグーグルの独占を厳しく非難している。

 グーグルの何が一体「悪」だというのだろうか?GAFA解体指令――米議会下院司法委員会の反トラスト法小委員会が10月に発表した報告書を、本特集ではこう呼んでいる。GAFA4社の解体を提言するこの過激な報告書を基に、「グーグルの大罪」をつまびらかにしよう。