ユーザーに「特定」の恐怖を与えたIPアドレス漏洩問題

 しかし、そのnoteの評判がここ数カ月で傾きつつある。

 始まりは2020年8月。ユーザーのIPアドレスが第三者から確認可能な状態になっていることが明らかになり、「IPアドレス漏洩問題」と騒がれた。

 IPアドレスの一致は、「同じ場所から書き込まれた」ことを意味するため、匿名掲示板に書き込まれたコメントのIPアドレスと有名人のnoteのIPアドレスを照合する人たちまで現れた。

 noteで数万人のフォロワーがいる筆者の知人はこの時期にフォロワー数が100人ほど減ったといい、「漏洩で怖くなってアカウントを消したユーザーがそれなりにいたのではないか」と話していた。

 ネット上では素性を隠して発信をする人も多い。著名人が匿名で書き込みを行うこともある。匿名のいちユーザーのつもりで交流を楽しんでいたのに、急に「特定」される可能性が持ち上がった。この恐怖は十分理解できる。

人気の写真家による人生相談
DV被害を「ウソ」と決めつけて炎上

 また、10月後半からはnote社が運営する「cakes」での「炎上」が相次いだ。cakesは、コラムニストや漫画家らが連載を持つ有料のコンテンツ配信サイトだ。

 最初に炎上したのは、写真家・幡野広志氏が連載していた人生相談「幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう」。夫との関係を相談した女性に対し、「大袈裟もウソも信用を失うから結果として損するよ」というタイトルをつけて、「あなたの話はどこまで真実でどこまでウソなのか、どれくらい大袈裟にいってるのか、ぼくにはわからないの。細かいことはわからないけど、でもあなたが大袈裟に言ってることだけははっきりわかるの」などと言い立てる内容だった。

 読者からは、DVやモラハラにあたるような内容を伝えている相談者に対して酷な回答であると批判が殺到。ウソだと思うなら取り上げなければいい、などの意見が上がった。また、批判が上がり始めた段階で、編集部が無料公開部分を大幅に減らし、「隠蔽しようとしている」という印象を与えたこと(*)や、編集部がツイッターの告知で女性の文章を「違和感のある相談文」と紹介していたことも火に油を注いだ(*後日のインタビューで、無料箇所の変更は他記事でも行っており、「特別な意図はございません」と釈明)。

 この後、幡野氏と編集部はそれぞれ謝罪。幡野氏は相談者の女性と直接連絡を取って謝罪したことを明らかにしている。

 個人的には、モラハラなどで追い詰められた人に適切な相談相手がおらず、適切ではない相手に相談した結果、二次被害に遭うケースに見えて心が痛かった。