また、SNS上での就活に関する情報に偏りがある点も見逃せない。SNSのユーザーのボリュームゾーンが10代から20代と偏りがあるのと同様に、SNSに投稿することが比較的多いのはベンチャーやIT関連などSNSに積極的な企業だ。業界にもよるが、レガシー企業ではSNSでの発信をしていないケースもあるので、そうした場合は別の手段を用いて情報収集するように心がけたい。

 先ほど紹介したようなSNS上で就活情報をまとめて発信するアカウントや先輩就活生のアカウント情報を信じすぎるのも危険だ。

「就活情報アカウント運用者の素性はわからないことも多く、また先輩就活生の投稿はもっともらしい話でもまだ働いていない人の話にすぎない。それよりは、実際に希望する企業で働く社会人のアカウントなどをフォローして、オンライン就活では知ることが難しい会社の雰囲気、社員のライフスタイルなどリアルな情報を得るほうが有益ではないだろうか」(秋山氏)

 SNSを情報収集の場としてだけでなく、発信の場として利用している就活生も少なくないだろう。そうした場合は、より注意が必要だ。スパイスボックスでは学生にエントリーシート提出を求める際、強制ではないがツイッターアカウントを尋ねているといい、同社に限らず、近年はエントリーシート上でSNSアカウントを参考情報として集める企業も少なくない。

「SNSでの発信内容などは企業の選考基準ではないが、学生の投稿から自社との相性を確認する一つのツールではある。どんな投稿に『いいね』を押しているのか、どんなアカウントをフォローしているのか。普段はポジティブな印象なのに、ネガティブなものに『いいね』を押していたり、攻撃的なリプライをしていたりしたら、二面性を懸念される恐れもある」(同社・プランナー兼広報・松原貴子氏)

 SNSは自分を表現するツールの一つでもある。選考を受ける企業から評価されたいと思っても、企業によって評価するポイントは異なるため、それぞれに合わせて自分らしさを曲げる必要はないだろう。ただし、自然体でいながらも、自分のアカウントは人事担当者に見られているという意識を持ち、人を不快にさせる投稿やSNS上での言動は絶対控えるようにしたい。