中国で新聞・テレビの廃業が止まらない!時代にのまれるメディアの絶望Photo:123RF

中国でも進む既存メディアの衰退

 中国のメディア事情について、前回(中国人インフルエンサーによる「日本の美談でっち上げ」が横行する理由)、私は以下のように指摘した。

「SNS時代のいま、人々の情報収集の主要手段は、新聞やテレビといった在来のメディアではなく、むしろインターネットメディアに依存している。ネットメディアは中国では、ニューメディアを意味する『新媒体』と呼ばれる。そのニューメディアの中でも、微博(ミニブログ)、WeChat(中国語名は『微信』)、TikTok (中国語名は『抖音』)などに代表されるSNS情報に依存する傾向がある」

 そのニューメディアの登場で、新聞やテレビなどのいわゆるオールドメディアが大きな岐路に立たされている。これは別にニューメディアが発達する中国に限った現象ではない。インターネット領域で後れを取っている日本でも、ニューメディアの勢いをひしひしと感じている。

 毎年、大手通信社が主催する新年互礼会に出ると、決まったように新聞協会の方から、新聞の発行部数の減少を嘆く息苦しい話を聞かされる。私が住む大型マンションでは、毎朝、新聞配達員が新聞配達に来るが、エレベーターホールには、いつも新聞が山のように置かれていた。しかし、この山はだんだんと低くなり、ここ数年では、ほぼ見られなくなった。未明の新聞配達という光景はすでに古き良き時代に属するものとなってしまったようだ。マンションの朝は新聞配達員と出会えない寂しい朝となった。

 中国に目を向けると、毎年1月は、昨年消えてしまった新聞がどれぐらいあるのかを報じるニュースが定番となっている。今年もその例外ではないが、これまで以上に寂しい嘆きが聞こえてきた。