コロナ禍で赤字に陥る日本航空(JAL)は、どれくらいキャッシュが消えていくかを示す「キャッシュバーン(キャッシュ燃焼額)」を決算で公表するようになった。ANAホールディングスは明示していないこの数値、実は両社の間にある格差をあらわにする。特集『超楽チン理解 決算書100本ノック』(全17回)の#8では、国内航空2強のキャッシュバーンを比較し、そこに透ける次の資本政策に迫った。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
金融庁に褒められた「キャッシュバーン」で
ANAとJALの格差があらわに
日本航空(JAL)は11月、決算説明資料に掲載したある数値について金融庁からお褒めをもらった。
金融庁は企業情報開示の好事例集を11月に公表し、その中で新型コロナウイルスの感染拡大に関する開示例の一つにJALの決算説明資料を取り上げ、どれくらいキャッシュが消えていくかを示す「キャッシュバーン(キャッシュ燃焼額)」を載せた点を高く評価した。
JALの首脳はキャッシュバーンを明示するようになった理由を「飛行機がほとんど飛ばなくなってキャッシュインがない中で、あとどれくらい会社が持つのかという点に投資家たちの関心が集まったため」と語る。
要は赤字企業においてどれくらいキャッシュが流出するのか、その実態に注目が集まったのだ。
ライバルであるANAホールディングス(HD)はこのキャッシュバーンを明示していない。そこでダイヤモンド編集部が算出したところ、両社の間に広がる「ある格差」があらわになった。