100本ノック#17Photo:Rodrigo Reyes Marin/AFLO

テレビ設置の届け出義務化――。10月、NHKが出したこんな要望に世間からは批判の声が相次いだ。いまだに根強い国民の不信感。その裏側にあるのは「NHKの肥大化」という問題だ。特集『超楽チン理解 決算書100本ノック』(全17回)の最終回では、NHKの実態を財務から明らかにしよう。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

「肥大化」批判が止まらないNHK
負担増に国民は反発

 テレビ設置届け出義務化に未契約者氏名の照会制度──。10月、NHKが有識者会議で提出したそんな“傍若無人”な要望に、世間は怒り心頭に発するといった様子だ。

 今なお抜本的な改革が進まないNHK。今夏公表された2021~23年度の経営計画案では、「スリムで強靱なNHK」の実現がうたわれ、3カ年で630億円もの支出削減を目指すなど、「肥大化」への批判をかわそうと構造改革をアピールする。だが、その評判は決して良くない。

「NHKがどのような事業をしたいのか、この計画からは見えない一方、衛星放送の集約の時期といった具体策には踏み込んでいないなど、改革の体裁を取り繕っただけという印象だ」と、立教大学の砂川浩慶教授は厳しい評価を下す。

 今年はNHKにとって“悲願”だったインターネット同時配信がいよいよ始まったものの、民放などからは民業圧迫への強い懸念があり、冒頭のように世間からも常に批判にさらされる。NHKの在り方を巡る議論は全く煮詰まっていないのが実情だ。

 見送られはしたものの、有識者会議の中では総務省の提案によって「受信料支払い義務の明確化」も検討された。どんな方法にせよ、負担増をよしとしない国民は多いだろう。

 だが、そうした批判の裏にある、「NHKは肥大化している」「NHKは無駄が多い」といった指摘は、実際のところどうなのか。その実態を、財務分析で明らかにしよう。