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コロナ禍対策の財政出動の財源はほぼ国債で賄われた。膨らんだ国債の償還財源をいかに賄うべきか。2000年代以降の法人税減税と被用者の社会保険料の引き上げ、アベノミクス下での法人税減税と消費税増税で日本は労働所得への課税を重くしてきた。これが消費低迷の一因ともなった。それゆえ、労働所得への課税を軽減する社会保険料の引き下げと消費税増税の組み合わせで財源を調達すべきと考える。それは事実上の資本課税ともなる。(BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎)

消費税で賄うとしながら現実には
保険料引き上げで賄われた社会保障財源

 緊急事態宣言が再び発令された。1カ月がめどというが、緩い規制では、感染爆発は簡単には抑え込めない。期間も長引き、対象もさらに広がる恐れがある。そうなるとダメージを被る企業や困窮する家計への支援のための追加財政が再び必要となる可能性がある。

 最終的に今回のコロナ禍、パンデミック危機に要した費用を我々はどう捻出すべきか。迂遠なようだが、過去20年間の社会保障給付の財源確保への反省から、望ましい財源確保の形が見えてくる。

 まず、これまで我々は、高齢化で膨張する社会保障給付の財源をどう賄ってきたか。四半世紀も前に財政の専門家の間で確立したコンセンサスは、消費増税による財源確保だった。

 現実には、消費税率は極めて緩慢なペースでしか引き上げられていない。それでもPB(プライマリーバランス、基礎的財政収支)赤字の大幅悪化が避けられたのは、社会保障制度の効率化が進んだから、ではない。政治的反発を恐れ、社会保障給付の効率化は手付かずだ。

 社会保障制度改革と称して進められたのは、被用者の社会保険料の引き上げだ。2004年の厚生年金制度改革では、14年かけて社会保険料が5ポイント引き上げられた。2006年には「高齢者の医療の確保に関する法律(高確法)」が成立し、高齢者の医療費を被用者の健康保険に負担させる仕組みを整備した。

 高齢化で膨張する社会保障給付を現役世代の社会保険料の引き上げで賄う仕組みを整えたのは小泉政権だ。

 小泉首相は在任中、消費増税を行わないと明言していた。無責任に放置はしなかったが、膨張する社会保障給付の負担を政治的反発の最も小さな現役世代の被用者に押し付けたともいえる。政治的コストは小さかったが、意図せざる形で日本経済に大きな弊害をもたらした。