経済分析の哲人が斬る!Photo:PIXTA

コロナ危機は深刻だが
バランスシートの毀損は一部の業種

 コロナショックでは、インバウンド需要の消滅や外出自粛による売り上げが急減することなどによる損失から資本を失い、倒産や廃業も含めた経営問題に至ることが起きているが、それは今のところサービス業である「コロナ7業種」(飲食、宿泊、陸運、生活関連サービス、小売、娯楽、医療福祉)の中小零細企業に限られている。

 過去の深刻な「危機」だったバブル崩壊やリーマンショックは資産価格の大幅な下落を伴い、企業のバランスシートの資本の毀損(きそん)が起点となり、大手企業や金融機関までを巻き込んだ不況に陥った。

 コロナショックでは、中小零細の「コロナ7業種」のバランスシート問題が、全体に広がることをいかに遮断することが重要な課題だったが、資産価格下落を食い止めたことが大手企業などへの業績面への波及を防いだ。

 深刻な「危機」ではあるものの、資産価格下落が一時的で済み、高値が維持されている特異なケースであることの意味を改めて認識する必要がある。