マスク「コロナ禍はこの国の将来の姿」、その真意は?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

債務残高はGDP比260%超、
わが国の財政は相当厳しい

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 2021年1月8日に東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県を対象に2度目の緊急事態宣言が発令され、1月14日には栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県へと対象が広がりました。

 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず医療崩壊が迫る中、首都圏や関西圏などに続いて発令の要請を検討する自治体が増えています。

 多くの国民が感じているとおり、政府の対応は後れを取ったと思うのですが、緊急事態宣言を発令すると、広範囲の休業補償などもセットで実施しなければならず、即決できない事情があったのだと推察しています。もちろん、緊急事態宣言を出せば、経済が落ち込むということも紛れもない事実ですし、政治的な忖度もあったことは否定できません。

 なにしろわが国の財政は相当厳しく、債務残高は名目GDP比260%超に達しています。これはコロナ禍前の数字ですからその比率は、今はもっと高いのです。2位のイタリアの160%と比較しても突出しています。財政の限界をにらみつつ、経済活動を続けていくという難しいかじ取りを迫られていることも間違いありません。

 政府の事情はさておき、誰にも先が見通せない状況下で経営者がまずやるべきことは、コロナ禍における「最善シナリオ」と「最悪シナリオ」の2つを想定することです。