同じ時期に、療養型病院の入院患者と療養施設の入所者、従業員など78万人を対象とした接種をスタートさせ、3月中旬からは重症患者が多い総合病院などの医療機関の関係者、救急隊員、検疫官、疫学調査官など新型コロナの1次対応に当たる約44万人が接種を受ける。
そして、このような「コロナ対策をしている医療従事者」やリスクの高い人たちの接種が終わった後、4月から6月にかけて、医院や薬局などに勤務する医療従事者と薬剤師約38万人が接種を受けるのだ。
370万人という膨大な数の医療従事者の接種を優先して、高齢者、基礎疾患のある人を後回しにするという日本の雑な計画より、韓国の計画の方が、「死亡者や重症者の発生をできる限り減らす」という点では理にかなっているのではないか。
医療従事者370万人一斉接種に
日本がこだわるのはなぜか
そこで気になるのは、なぜ日本は「医療従事者370万人優先接種」という非効率かつ人命軽視の接種計画を立ててしまったのか、ということだろう。
これはあくまで筆者の個人的な見解だが、1つの可能性として考えられるのは、死者や重症者を減らす、医療崩壊を防ぐといった視点ではなく、「医療従事者を平等に扱う」ということを重視し過ぎたあまり、このような計画になってしまったのではないかということだ。
「こんな緊急事態の最中に、そんなくだらないことを気にするわけがないだろう」と失笑するかもしれないが、政府のこれまでの医療従事者への対応を振り返れば、国民の感覚では理解し難いほど「平等」にこだわっていることがうかがえるのだ。それを象徴するのが、「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業」だ。