この3月、来年2022年3月卒業予定(現在大学3年生など)の学生の就職活動が企業側による採用情報の解禁で本格スタートとなった。採用から内定に至るおおまかなスケジュール感は昨年度から変更はないが、コロナ禍の影響で、「企業次第」という不透明さが増している。そうしたなか、いま改めて、新卒一括採用の理由といった就活の歴史やルールを理解し、ウィズコロナでの就職活動の“常識”がどう変わっていくのかを考えたい。(ダイヤモンド・セレクト「息子・娘を入れたい会社2021」 編集部)

*当記事の前段となる 新型コロナウイルス感染症拡大で激変する採用市場(1) 新型コロナウイルス感染症拡大で激変する採用市場(2) 22年卒の就活戦線大予測!採用人数は絞られスケジュールは前倒しに を合わせてお読みください。
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2021」の巻頭特集記事「コロナ禍で大激震!“就活戦線”のいま、これからの一部を転載したものです(加筆修正あり)。

頭に入れておきたい日本型の人事システム

 毎年、日本では、多くの大学生や大学院生が就活(就職活動)に臨み、3月の卒業と同時に(同じ年の4月に)、企業などに入り、社会人としての第一歩を踏み出す。

 企業側からすれば、卒業前に説明会や面接を通して学生と接触し、卒業後の春に大量一括採用することから、この仕組みは「新卒一括採用」と呼ばれる。採用後、企業ごとにさまざまな業務を経験させて育てることが前提になっており、入社時のスキルや専門知識は技術職などの一部を除き、問われることはない。

 この「新卒一括採用」は、他国ではほとんど見られない日本独自の制度だ。本格的に始まったのは1920年頃、第1次世界大戦後の不況期だとされ、すでに100年ほどの歴史がある。

 ただ、1920年(大正9年)当時、大学は全国で16校、学生数は2万人程度。大卒を採用する企業は財閥系など、ごく少数に限られていた。

「新卒一括採用」が、社会に普及し、定着したのは第2次世界大戦後のことだ。大学と大学生の数が増えていくと同時に、大手のみならず、中小企業も高度経済成長の中で大卒を安定的に採用する仕組みとして、取り入れていった。

「新卒一括採用」はまた、戦後に確立された「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」という日本型人事システムとの相性も良かった。「新卒一括採用」が入り口となり、その後は日本型人事システムのレールの上で、それぞれの企業組織に馴染んだ人材として活躍し、本人にとっても安定したキャリアと人生(社会生活)が約束された。

 こうした仕組みがピークを迎えたのが、1980年代後半のバブル景気の頃だ。大卒求人倍率は2倍を大きく超える「超売り手市場」となり、当時の大学生の多くが大手有名企業に入社したともいわれる。ちなみに、求人倍率が1倍なら理論上、就職を希望する学生数と企業の求人数が釣り合う。

 ただ、企業の求人数は、途中で変わることがあるし、学生の側としても「入れればどの企業でも良い」というわけにはいかないだろう。そのため、「1.5倍くらいがバランスの良い水準」といわれたりする。

▲「息子・娘を入れたい会社2021」から転載
拡大画像表示