最強のテンバガー#17Photo:Westend61/gettyimages

全上場企業の過去10年の成長企業ランキング(本特集#1参照)で6位に入ったのが、食品などの商品情報管理ソフトを手掛けるeBASE(イーベース)。この分野で独占的な地位を築き、株価は10年で10倍超となった。特集『最強のテンバガー』(全18回)の#17では、その知られざる事業モデルや、一段の飛躍を見据えたコンテンツビジネスを巡る戦略などについて、岩田貴夫社長と窪田勝康CFO(最高財務責任者)に聞いた。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

ニッチ市場で着実に成長
株価は10年で10倍超に

「商品情報管理ソフトウエア」というニッチ(隙間)な市場で、着実な成長を遂げてきたのがeBASEだ。食品や日用品のメーカーなどを対象とした商品情報のデータベースシステムを販売し、この分野で独占的なビジネスモデルを築いてきた。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で足元の業績こそ踊り場だが、特にライバルといえるほどの存在も見当たらない中、長きにわたって増収増益を実現。前期(2020年3月期)の経常利益率は約3割という高水準で、株価は10年前と比べ10倍超に跳ね上がっている。

 eBASEという会社を聞いたことのない人は多いかもしれないが、実は生活の身近なものに関わっている。分かりやすい一例を挙げるなら、スーパーなどから自宅に送られてくる特売チラシだ。端的に言うと、同社は、このチラシを作る際の大元となる画像やテキストのデータをあらゆる業界から集め、効率よく管理できるシステムを生業としている。これが消費者の目に直接触れることはないが、株式市場などではにわかに注目を集めてきた「知られざる巨人」ともいえる存在なのだ。

 次ページでは、創業者の常包浩司会長と同じく凸版印刷出身で、07年からCFO(最高財務責任者)を務める窪田勝康氏、昨年6月から社長となった岩田貴夫氏を直撃。高収益を築くeBASEの独占的モデルとはどんなものか、その牙城を築き上げるまでの経緯や分析に加え、同社が一段の成長を見据えて本腰を入れ始めた「コンテンツビジネス」の全貌を詳述していこう。