障がい者たちの雇用がピンチだ。昨年から続くコロナ禍の影響だが、法定雇用率で守られるはずの障がい者まで解雇しなければならない事態には、企業側も頭を悩ませているという。未来が見通せない状況の中で、障がい者たちの雇用環境はどうなっていくのか。(清談社 武馬怜子)
コロナ禍で追い込まれる
障がい者雇用
コロナ不況により、障がい者の解雇が増えている。2020年4~9月の障がい者の解雇数は全国で1213人に上り、19年の同時期に比べ342人、率にしておよそ40%増えている。この状況について企業の障がい者雇用の受け入れ体制の整備や業務創出のコンサルティングを行う「障害者雇用ドットコム」代表松井優子氏はこう語る。
「厚生労働省の『令和2年 障害者雇用状況の集計結果』によると、民間企業に雇用されている障がい者の数は57万8292人(前年比3.2%増)。17年連続で過去最高を更新しました。しかし、この集計は毎年6月1日時点の状況を示しているため、今回のコロナ禍の影響がまだ反映されていない部分もあります。サービス業や工場労働に従事している人たちの場合、2度の緊急事態宣言により就業現場が休業、倒産、閉店などの憂き目に遭い、そのまま職を失うケースも多いです」(松井氏、以下同)
2008年のリーマンショックや11年の東日本大震災など、大きく経済状況が揺らぐような出来事があった際も、障がい者の雇用数が大きく減ることはなかった。そのため障がい者雇用は景気や政治状況にあまり影響を受けないというのが定説となっていたが、今回の事態でそれが覆されることも予想される。