日本で爆発的にユーザーを増やしているクラブハウス(Clubhouse)だが、クラブハウスが生まれるおよそ1年前から、私は声のソーシャルアプリ「ダベル」を公開していた。アプリの機能はほぼ同じ「クラブハウス」と「ダベル」だが、どう対抗していくのか。そして、今の音声ビジネス業界全体が抱える課題と今後の展望を伝えたい。(ダベルCEO 井口尊仁)
ダベル開発の動機は「とにかく寂しいから誰かとしゃべりたい!」
私はかつて2009年に一般公開したAR(拡張現実)アプリ「セカイカメラ」や、2013年のウェアラブル機器「Telepathy One」と言う呼称の眼鏡型コンピューターなどを世に送り出してきた。連続起業家としてグローバル市場で戦い、何度もGAFAとはぶつかってきたことがある。
そして、今、オーディオソーシャルの世界市場でクラブハウスが爆発的な人気となっているが、クラブハウスがローンチする約1年前の2019年1月に「ダベル(Dabel)」を公開していた。機能はほぼ同じで、声のソーシャルアプリだ。
当初から多人数で同時にライブで雑談することができるアプリとしてデビューしており、その後アメリカ市場で、特に視覚障害者のユーザーたちから熱烈に支持され普及していった。
日本では2020年6月頃、日本語化と日本市場での本格的普及が始まった。今ではウイークリーで1万人ほどが日々雑談を楽しむ、本格的な声のソーシャルアプリとして世界市場シェアの一角を担っている。
とは言え、2020年3月に創業してから間もなく100億円の時価総額となり、先だっては1000億円と言われる時価総額(推定)で100億円前後の資金調達を成功させ、一説には既に200万アクティブユーザーを軽々超えていると言われているクラブハウスに比べるなら、ダベルはまだまだマイナー勢力であり、現状は単なるニッチ製品にすぎない。
だが、今後数兆円規模に成長するだろうと推定されている音声テクノロジーの領域で、しかも最も成長分野と目されている、音声ソーシャルアプリの領域で世界市場にデビューを果たした以上、私もクラブハウスに対抗する何らかの競争戦略を巡らすべきだろう。
そもそも、相変わらず急成長を遂げているクラブハウスの盤石とも言える戦略には、一切死角は無いのだろうか?