ここ数日で突然、話題になっている米国発の音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」。今のところiPhoneユーザーだけが使える招待制のSNSだが、既に多くの有名人が参加し、ネット上でのコミュニケーションが大きく変わりそうだ。発信する有名人だけの問題ではなく、質疑応答に参加する一般人の力も試されている。(ダベルCEO 井口尊仁)
大統領と首相がClubhouseにやってくる?
2021年夏までに、われわれはバイデン大統領や菅首相と直接質疑応答ができるようになる。あなたは、そんな話を真に受けられるだろうか?
とはいえ、河野太郎行政改革相は既にClubhouseで登壇しているし、 1月31日にはテスラのイーロン・マスクCEOが株取引アプリ 「ロビンフッド」 CEOのウラジミール・テネフに、GameStopなどの株取引を制限した判断についてClubhouseで直接インタビューしている。
2020年はたった2000人程度のユーザー規模ながら100億円の時価総額を獲得し、2021年1月には1000億円の時価総額を達成した(この時点でユーザー数は200万人超!)。このミュータント(突然変異)的なスタートアップのClubhouseならすぐにでもアメリカ大統領と日本の首相を招き入れ、われわれが直接対話できる空間を提供したとしても全く不思議ではない。
では、その驚異的ともいえる 声のソーシャルメディア「Clubhouse」とは、一体何なのか?
人によってはLINEグループのようだと言う人もいるし、人によっては Zoomでやるウェビナーのようだと言う人もいる。あるいは「声のTwitter」と呼ぶ人もいるし、stand.fmやVoicyなどの日本産音声アプリと比較する人もいる。が、Clubhouseはそれらと大きく一線を画する全く新しい製品なのだ。
その独自性とは、要するに「人が直接声で語り合えるオンライン空間であり、そこではFacebookの実名制ネットワークと同じように直接対話できるだけでなく、その空間に存在する他の人たちもその対話を生で聴くことができる」ということだ。
例えば、電話は「通信」なので、通常その通話は秘匿されるし、ラジオ放送は基本的に公共の「媒体」であり、そこで不特定多数の人が直接対話することは(まず)ない。
ところがClubhouseでは他人が電話で話している会話をラジオのように生放送で聴けるだけでなく、その対話にいきなり「直接参加可能」なのだ。
これほどダイレクトでフラットな音声中心のメディアが過去にあっただろうか?
電話を盗み聴いたとして、その人はその通話に割り込めるだろうか?ラジオを聴いている最中に、そのトーク番組にいきなり参加して、タレントやアナウンサーと直接気持ちよく語り合えるだろうか?