アフターコロナの世界においては、中央集権的な経営から脱却し、分散型で意思決定を進める「全員リーダー経営」のスタンスが求められるということを提言した(第1回)。それでは、この「分散型で変化に強い組織」をどうつくれば良いのだろうか。その鍵は「自走力」にあると私は考えている。メルカリでの経験を交えてポイントを紹介したい。(Almoha LLC 共同創業者 唐澤俊輔)
どうやったら優秀な人に選ばれる会社になれるか
これまで、伝統的な日本企業は、終身雇用を前提にジョブローテーションしながら一つの企業内でキャリアを積み上げていくというメンバーシップ型の組織設計をしてきた。
しかし、変化の激しい時代においては、どの業界や事業が外部の環境変化の影響を受けるか予測が難しい。だとすると、終身雇用を前提に一社に就社することは、働く個人にとって大きなリスクとなるので、避ける動きが出てくるだろう。転職をしながらキャリアを積むことを前提に、専門性を高めていくキャリア像を描く個人が増え、人材流動性は高まる。
同時に、企業としても、スピーディーな環境変化に対応するためには、専門性の高い人材を社内でゆっくり育てる時間もなく、中途採用により専門性を獲得する動きが加速し、人材流動性はどんどん高まっていく。いわゆる人材獲得競争が加熱し、企業が個人を選ぶのではなく、個人が企業を選ぶ時代になってくると考えられる。
それでは、良い人材を採用し、成果を発揮してもらうにはどうすれば良いだろうか。私がメルカリで働いている時に感じた、「専門性が高い人材が重要視しているポイント」を紹介したい。