世界156カ国に輸出、海外に8つの支社

写真:アタゴの雨宮社長
アタゴの雨宮社長、前にあるのは粘度計(著者撮影)

 液体中の糖・塩・酸・タンパク質などの濃度を測定する屈折計の製造販売で、アタゴは小さな世界企業である。

 創業以来80年にわたって屈折計開発に取り組み、現在、世界156カ国に輸出している。小型屈折計では国内シェアは90%、海外シェアは30%を占める。海外売上高比率は60%に達する。

 海外との取引は商社などを利用せず、全て直取引で、契約している外国の代理店数は1200社を超える。海外支社はアメリカ、インド、タイ、ブラジル、イタリア、中国、ロシア、カザフスタンの8カ国に置く。

 率先垂範で海外のネットワークを築き上げてきた3代目社長の雨宮秀行(49歳)はこう語る。

「海外進出はリスクがあると中小企業の経営者は言いますが、大したことはありません。これまで中国とヨーロッパ相手に2回ほど失敗したことはありますが、その後、リベンジして現地の拠点を立ち上げたので、決して無駄ではありませんでした」

 同社の屈折計は手で持てるほど小型で使いやすいため、さまざまな業種業界で利用されている。主力の「PAL」シリーズでは食品・飲料はもとより、掘削油・クーラント液・防錆剤などの工業用、医療・医薬品、化学薬品、塗料など幅広い分野で使われている。また、これまで企業向けに販売していたが、コーヒー濃度、ラーメンスープ濃度専用の屈折計が個人や小規模事業者などにも拡大している。

 近年では新製品開発にも注力し、2016年に農業向けなどで販売を始めた「PAL-光センサー」も好調だ。屈折計は計測対象の液体をサンプルステージに載せて測る必要があったが、光センサーは果実ごと押し当てたり、載せてLEDライトによって測定する。いちいち果汁を搾る必要がないのだ。中国、韓国、アメリカでも売れていて、出荷量の4割弱を海外が占める。

 食品や工業製品の粘度を測る粘度計「VISCO」も15年に発売し、画期的な性能で業界に驚きを与えた。従来、アメリカ企業1社が市場を独占していたが、その粘度計は500mlものサンプルを必要とした。しかし「VISCO」はわずか15mlで、小型軽量で、価格も競合の3分の1以下に抑えた。独占市場を崩すのに苦労しているが、19年から売り上げが伸び始めたという。