文在寅大統領統計開始以来はじめて、韓国の人口が減少に転じた。写真は文在寅大統領(1月11日、ソウル) Photo:Handout/Gettyimages

韓国の文大統領は、わが国を「重要な隣国」と指摘した。これまで重視してきた反日的な姿勢を弱め、対日関係の修復を目指さなければならないほど、文氏の経済運営は厳しい局面を迎えつつあるようだ。その裏には、日本以上に深刻な韓国の人口問題が垣間見える。(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

統計開始以来初めて
韓国の人口が減少へ

 韓国統計庁が公表した2020年の韓国の人口統計(速報値)によると、出生数27万2400人に対して、死亡者数は30万5100人。2020年、1970年の統計開始以来初めて、韓国の人口が減少に転じた。

 人口減少の要因となっているのは、合計特殊出生率(女性1人が一生に生む子どもの推計数)の低下だ。また、コロナショックによる経済格差の深刻化や経済の二極分化(K字型の景気回復)への懸念もその要因になり得る。それに加えて、韓国の株価や不動産価格の調整も人口の減少に拍車をかける恐れがある。

 長期的な視点で考えると、韓国の人口はこのまま減少傾向をたどる可能性があり、わが国以上に厳しい人口問題に直面するとみる経済の専門家もいる。