市場環境の激変に応じたビジネスモデルの転換
いま、多くの日本企業が突き付けられているのは、市場環境の激変に応じたビジネスモデルの転換である。
企業の時価総額ランキングを世界レベルで見ると、1989年には上位100社に銀行を中心に日本企業が53社もランクインしていた。しかし、現在は3社のみだ。上位には、いわゆるGAFAをはじめ、IT・通信系の企業がずらりと並ぶ。
そもそも、日本ではバブル崩壊後の30年間、産業構造の転換とそれにともなう人材の移動や再教育がなかなか進まなかった。
需要が落ち込むデフレ経済のもとで、多くの日本企業は非正規雇用の活用といったコスト削減で対応しようとしてきた。
しかし、それもそろそろ限界に達した感がある。従来のビジネスモデルそのものが通用しなくなってきたのだ。その結果、正社員の雇用にもメスを入れざるを得なくなっている。ANAホールディングスのトップは記者会見において「グループ全体でビジネスモデルを劇的に変える」と述べ、ホームページにはそのプランが掲載されている。
ビジネスモデルの転換とは、新しい事業をつくるということだ。これまで手掛けていたのとはひと味もふた味も違う製品やサービスを生み出さなければならない。
そこで必要となる人材は、あらかじめ決められたことや言われたことを、丁寧に、正確にこなすだけのタイプではない。未知の課題に挑戦し、これまでにない新しい価値を生み出せるようなタイプこそが求められる。