経営戦略と直結した形での人事や人材マネジメント
これまでの多くの日本企業では、長期雇用に基づくクローズドな組織をベースに、集団的な対応力を発揮するチームづくりが人材マネジメントの大きな目的だった。
そのため、たとえば、社内研修を通して安定した業務遂行と部下のとりまとめができる中間管理職の育成が重視されてきた。人事に関わる業務は、定型的な労務管理や給与計算などがメインであり、社内に変化を生み出すよりも、安定性と正確性、そして、平等性が求められた。何より、人事部門は経営トップと直接つながるというより、間接部門のひとつという位置づけだった。
しかし、ビジネスモデルの転換を進めるには、こうした従来の人事や人材マネジメントのやり方を見直すことが不可欠だ。実際、高度なIT系の人材に従来のような年功序列的な報酬や評価システムをあてはめることは、採用において不利なだけでなく、社内からの人材流出にもつながる。
そこで近年、経営戦略の実現へ向け、経営戦略と直結した形で人事や人材マネジメントを展開する「戦略人事(Strategic Human Resource Management)」という考え方が注目されている。
戦略人事では、人事部門のトップは人事部長ではなくCHRO(Chief Human Resource Officer)が担い、CEOと連携しながら経営的視点を持って、人事に関する戦略を立案し、実行していく。こうした企業では、人事戦略はもはや経営戦略と一体化している。
→次稿(4月14日公開予定)に続く