2022年3月卒業予定(現在大学4年生など)の学生の就職活動が本格的に始まっている。ウィズコロナ時代の就活を成功させるために、学生は、目指す企業の “経営のあり方と人事戦略の方向性”を知っておく姿勢が必要だ。「働き方改革」をベースに、そのキーワードとなる「ジョブ型雇用」と「人生100年時代」について考えてみよう。(ダイヤモンド・セレクト「息子・娘を入れたい会社2021」編集部)

*前稿 コロナ時代の就職活動は「企業の人事戦略」をスタート地点に考えるからお読みください。

*また、当記事と前稿の前段となる 新型コロナウイルス感染症拡大で激変する採用市場(1) 新型コロナウイルス感染症拡大で激変する採用市場(2) 22年卒の就活戦線大予測!採用人数は絞られスケジュールは前倒しに 新卒一括採用、世界でも珍しいルールが日本で定着した理由 コロナで就活はどう変わっていく?学生の志向、スケジュール… も合わせてお読みください。

*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2021の巻頭特集記事「コロナ禍で大激震!“就活戦線のいま、これから」の一部を転載したものです(加筆修正あり)。

見直される人事戦略と進みつつあるジョブ型雇用

 人事戦略と経営戦略の一体化は、今後、ウィズコロナ&アフターコロナの新常態(ニューノーマル)が定着していくなかで、多くの企業に広がるだろう。

 これと連動するのが、「働き方改革」の動きだ。

 すでに2018年、「働き方改革関連法」が成立し、2019年4月から施行が順次始まっている。これにより、残業規制や同一労働同一賃金などが実施され始めたところにコロナショックが重なった。

 いまや、残業削減どころかリモートワークが当たり前になっている。かつて、リモートワークは、ワークライフバランスのための施策と位置づけられていたが、大手を中心に、「出社するのが例外、リモートワークが標準」という企業が増えている。

 ただ、リモートワークには問題も指摘されている。従業員それぞれの仕事の役割や分担が明確になっていなければ、日々の進捗管理が難しく、評価もしにくい。同じことは、「働き方改革」のひとつである同一労働同一賃金の導入でもいえる。何が“同一労働”なのかが明確になっていないと、評価や待遇で混乱が生じやすい。

 つまり、いま進んでいる「働き方改革」では、これまで曖昧だった仕事の役割や分担を明確にすることが必要になっているのだ。

 これは、いわゆる「ジョブ型」雇用に通じる。

「ジョブ型」雇用は欧米で一般的な雇用スタイルで、個別の職種・職務(ジョブ)を定義し、そのポジションに相応しい人材を社内外から募集する。中途入社はもちろん、新卒についてもジョブ型で採用するのが一般的である。欧米企業のインターンシップも、新卒を対象にしたジョブ型雇用のための研修期間という位置づけだ。

 ジョブ型雇用では、キャリア形成は個人が自分で考えなければならず、企業を移りながら、特定の職種・職務(ジョブ)における経験やスキルを積み重ねていく。

「ジョブ型」雇用と比較されるのが、「メンバーシップ型」雇用だ。

 これは従来の日本型人事システムとほぼ重なる。終身雇用(長期雇用)を前提に特定の企業に入社し、さまざまな業務をローテーションしながら、その企業において必要なスキルや経験を身に付けていく。また、年功序列により、長く働けば働くほど待遇は良くなるが、他の企業でも通用する人材になるかどうかは別問題だ。

 欧米の「ジョブ型」雇用では、特定の職種・職務(ジョブ)がなくなれば、担当者は解雇されるのが一般的だ。ただ、解雇されたとしても、一定のスキルと経験を積んだ人材であれば、他の企業で同じような職種・職務(ジョブ)を探すことは、そう難しいことではない。

 日本ではこうした会社都合での解雇は厳しく制限されており、欧米のような「ジョブ型」雇用は難しいという意見もある。しかし、日本でも、従業員ごとに業務の内容を明確化し、評価や処遇と連動させる「役割型」雇用は可能だし、すでに地域限定職や育児・介護による時短勤務といった形で取り入れられているケースもある。

「ジョブ型」が良いか、「メンバーシップ型」が良いかではなく、それぞれの企業がビジネスモデルの変革などの経営目標を達成するため、必要に応じて、それぞれの人事戦略を組み立てればよいだろう。それが経団連(一般社団法人 日本経済団体連合会)の提唱している「自社型」雇用ということだ。

「息子・娘を入れたい会社2021」から転載