「プレゼンティズム」という言葉があります。これは「出勤はしているが心身の不調によって思うようにパフォーマンスが取れなくなる状況」を指しており、生産性の低下を引き起こす要因となります。

 産業医科大学の永田智久氏が行った労働者1万2000人を対象とした調査によると、日本人の労働生産性低下の原因のうち、「首の痛み・肩こり」はなんと1位、「腰痛」は3位という結果が出ています。1人当たりの年間損失額にすると「首の痛み・肩こり」では4万7102円、「腰痛」では2万8742円と算出されています。

 また、厚生労働省の「国民生活基礎調査(平成22年)」では腰痛・肩こりの有訴者は男女平均して国民の10%ほどいることが分かっており、個人にとっても企業にとっても「たかが腰痛、たかが肩こり」とバカにはできないことが分かっていただけると思います。

 先述のemphealの調査では「腰・肩・首すじのこり・痛み」がさらに増えた人が5割以上となるわけですから、対策は急務と言っても過言ではありません。

 それでは、どのようにすれば腰痛、肩こりを軽減することができるのでしょうか。

在宅勤務で腰痛、肩こりを防ぐ
二つの方法とは?

 在宅勤務で腰痛、肩こりを防ぐ方法は、大きく分けて二つあります。

(1)正しい座り姿勢で作業することを心がける

(2)長時間同じ姿勢で作業するのを防ぐため、一定時間おきに休憩を挟んで立ち上がるようにする

 これらは、個人で努力するのはもちろんのこと、会社が費用を援助して、在宅で勤務するための環境を整える手助けをすることも重要です。

 では、それぞれをもう少し細かく説明しましょう。

(1)正しい座り姿勢で作業することを心がける

 実は、厚生労働省が作業環境(照明やPC、デスク・椅子など)について言及していることをご存じでしょうか。「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(令和1年7月18日交付)では、適切な作業環境を確保する上でのポイントが記載されています。

 パソコン機器に関しては、以下の三点が挙げられています。

・輝度やコントラストの調節機能 ⇒眼の保護
・位置や向きの調整機能 ⇒正しい姿勢
・動かせるキーボードやマウス ⇒肩こり防止

 中国のオフィスワーカーを対象に行った調査では、モニターの位置が体の正面から左右にずれている場合、首の痛みが強く出る可能性が2.9倍となり、使用者が女性の場合、加えて腰の痛みが強く出る可能性が3.2倍になるという結果が出ています。モニターが体の正面に来るよう、配置を整えることが大切です。

 モニターの高さに関しては、ガイドラインにて「眼から40cm以上の距離/画面の上端は眼の高さまで」と提示されています。キーボードの位置にも注意が必要です。体の中心線とキーボードの「G」「H」の間を合わせることを心がけましょう。