問題を指摘する人と「何が問題かわからない」人

 呉座氏は長年、鍵をかけたアカウントでツイートを行っていた。

 ツイッターは基本的にフォロワー以外の人やツイッターアカウントを持っていない人でもどのようなツイートを誰が行っているか確認することができるが、鍵をかけると、自分が承認した相手以外からはツイートを見ることができなくなる。

 とはいえ、呉座氏には当時3000人近いフォロワーがいて、彼らにはそのツイートが確認できる状態だった。

 そんな中、呉座氏が鍵アカウントから数年にわたって中傷をしていた相手の一人である女性研究者の北村紗衣氏が中傷に気付き、ツイッター上で抗議を行った。

 その後、呉座氏が自分の鍵を外したことで、過去のツイートやリツイート、あるいはどのようなツイートに「いいね」をしていたかが誰からも確認できる状況になった。

 そのツイートがまとめられると(このまとめは現在削除されている)、その内容に驚き、あきれる反応を示す人が多くいた。複数の男女に対して、嫌悪感をあらわにし攻撃の対象とみなすようなツイートが多かったと筆者は感じた。

 一方でそれらのツイートを見ても、「何が問題なのかわからない」「別に変なこと言っていないでしょ」と、疑問を呈している人たちもネット上にはいた。

 つまり、呉座氏のツイートは批判には当たらないとする人たちだ。ただ、呉座氏自身が批判を認め謝罪をしていることもあり、こういった意見は現時点では多数派には見えないのだが、一方でこれまで中傷・揶揄(やゆ)・嫌がらせなどが黙認され、「ネットなのだからしょうがない」と許容されてきてしまったのは事実である。そのようなネット文化に浸かってきた層からすれば「今さら何が問題なのかわからない」となるのであり、その風潮をいいかげん変えようとする人たちの試みが、声明やレターである。