1位となったのは東京都のソラストだ。平均年収は213万円である。業種は「サービス」で、全国1400以上の医療機関に向けて医療事務関連業務や人材派遣を行うほか、介護や保育事業も展開している。平均年齢は45.1歳で、単体従業員数が2万4118人もいる。

 従業員数には、本社などで常勤勤務する総合職605人が含まれるが、大多数が医療機関(病院・診療所)や介護事業所などで勤務する非常勤の社員である。なお常勤勤務の総合職の平均年齢は43.5歳で平均年収は569.9万円だ。

 2位は宮城県のトスネットで、平均年収は226.1万円だった。同社は警備事業がメインだが、電源供給事業なども行っていて、コロナ禍でイベントが相次いで中止になった影響を大きく受けたという。20年9月期の売上高は前年同期比7.6%減の99.48億円で、純利益は同49.5%減の3.21億円だった。

 警備業はもともと給与水準の低い業種である。加えてトスネットは地方を拠点としているため、都心と比べて物価水準は低い。現状の課題は警備員不足と人材不足だといい、積極的に採用活動を行っているという。

 3位は愛媛県のマルクで、平均年収は280.9万円。同社は障がい福祉サービス事業を手掛けており、従業員数は52人だ。20年8月期の売上高は前年比11.6%増の3.37億円だった。

 民間企業において雇用障がい者数は徐々に上がってきている上に、21年3月から障がい者の法定雇用率が2.3%に引き上げられたことから、需要が見込まれている。コロナ禍で厳しい状況とはいえ、先行きは少し明るいようだ。

 4位は徳島県のデンタスで、平均年収は285.1万円。従業員数は33人。歯科医療材料の研究開発や器具の販売などを行っている。

 5位は鹿児島県のアクシーズで285.6万円。鶏肉およびその加工食品の製造販売を行っている。従業員数は959人。

 ここからは長崎を除く46都道府県においてどんな業種の企業の平均年収が低いのか、傾向を分析しよう。最もランクイン数が多かった業種はサービスで14社、次いで小売業で11社、情報・通信と電気機器で3社となった。

 サービスでは前述した上位4社以外に、琉球アスティーダスポーツクラブ(6位/285.9万円/沖縄県)、ウイルテック(9位/312.5万円/大阪府)、光ハイツ・ヴェラス(10位/314.3万円/北海道)などがランクインした。

 琉球アスティーダスポーツクラブは、2018年に設立されたばかりの、プロ卓球リーグ「Tリーグ」に参戦するプロチームの運営などを行う企業だ。従業員数は20人で、今回のランキングの中で最も人数が少ない。

 小売業では食材配達サービスのショクブン(7位/289.7万円/愛知県)、北九州市の地元では有名な老舗の百貨店である井筒屋(8位/307.7万円/福岡県)などが目立った。

 なおショクブンは、第三者割当増資の引き受けにより、21年3月末に米穀卸最大手の神明ホールディングス(兵庫県)の連結子会社となった。家庭用食材の宅配と業務用食品の販売強化が狙いだという。

 一方、都道府県で最も年収が低い企業であっても、岩手県の北日本銀行(年収505万円)、高知県の高知銀行(524万円)など、“地元のステータス”である銀行は年収500万円を超えている。

 業種や地域によって、今回ランク入りした企業であっても従業員の懐具合に“格差”があるのだ。

(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)