監督は松居大悟。劇団ゴジゲン主宰、テレビ東京『バイプレイヤーズ』シリーズのメイン監督で、映画『バイプレイヤーズ~もしも100人の名脇役が映画を作ったら』も4月9日(金)に公開されたばかり。2009年、NHK『ふたつのスピカ』で同局最年少脚本家デビュー。フジテレビ『教場』にも役者として出演…と、今注目の若手だ。

『くれなずめ』は、キャッチコピー「泣きたいのに笑えて、笑いたいのに泣ける」の通り、ホロリときそうになったかと思えば、クスリの場面もある。

 号泣も、爆笑もさせてくれない代わりに、不思議な感情の浮遊感を覚える映画だった。死という重くなりがちなテーマにもかかわらず、である。

 現実世界でも、親しい人を失った人間の感情は確かに揺れる。相続税専門の税理士という仕事柄、そういう多くの相続人の心と向き合ってきた。相続というのは、被相続人(亡くなった方)の思いだけでなく、相続人の思いや生活、被相続人との関係、相続人同士の関係も関わってくるからだ。

長寿化社会で起きている
「逆縁」現象

 税務を扱う税理士といえども人間なので、被相続人が若い方の場合はやはりつらい。特に親御さん、また一緒に年を重ねていくはずだった兄弟姉妹の思いと向き合うのは、痛みを伴う作業だ。親より先に子が亡くなって、親が子の死を弔わねばならないことを「逆縁(ぎゃくえん)」という。

「人生100年時代」の到来で、高齢化、長寿化が進む現代、その「逆縁」が増加している。かつては平均寿命日本一で知られた沖縄県でも、20~69歳で亡くなった人のうち、親より早く他界した人の割合が2015年には54.8%となり、30年前に比べ倍増しているそうだ。

 こうした世相を反映しているのか、ミドル世代で「終活」を始める人も増えているという。2019年、楽天インサイトの20~60代・男女1000人を対象としたアンケートによると、「終活」をする意向がある人は30代が46%でトップだったとのデータもある。

「終活」という言葉が世に出たのは、確か2009年だったと記憶する。『週刊朝日(朝日新聞出版)』の連載記事『現代終活事情』が最初ではないだろうか。その後、2011年の東日本大震災を機に「終活ブーム」は一気に広がった。今また、新型コロナウイルス感染症の拡大で関心が高まっている。

 万が一に備えて、親しい友人や愛する家族にメッセージを残しておきたい。また、自分がこの世を去った後も、暮らしに困らないよう対策を練っておきたい。そう思ったら、30代、40代がすべき「終活」には、どんな方法があるだろう。