女性客をターゲットに定め
乗客が触れるところにこだわり

――デザイン面ではJR九州の力が大きかったと聞いています。

神田 JR九州の強みはデザイン力や宣伝力。JR西日本だけだとこういうデザインにはならなかったと思っています。さくら・みずほ編成についてもJR九州は水戸岡鋭治先生、JR西日本は近畿車両デザイン室と木村一男先生という2人のインダストリアルデザイナーが担当していますが、デザイン監修が2人つくというのは初めての経験でした。デザイン会議を定期的に開催し、細かいところのチェックまでやってもらっています。

清松 (車両開発については)JR西日本にお任せしたという感じです。新幹線車両の設計はJR西日本の方が経験があるので、JR西日本の主導で開発するのがベストであったと思っています。その中で九州らしさも取り入れてもらったと思っています。

――デザイン面ではどのような狙いがあったのでしょうか。

神田 一番の特徴は客層の違いです。東海道・山陽新幹線はビジネスの男性客が中心であり、シンプルで飽きの来ないデザインとしているのに対し、山陽・九州新幹線では旅行などの女性客をターゲットに定め、選んで乗ってもらうためのデザインとし、乗客が触れるところに一番こだわりました。

――デザイン・コンセプトは「凛」とのことですが。

神田 訪日外国人旅行者に日本の良さを伝えるためにも和のテイストを使うのが良いのではないかということになり、車体は陶磁器の青磁を思わせるような白藍色としました。個人的には最初はこの色はどうかなと思ったのですが、できてみると東海道・山陽新幹線のN700系の機能美とは違い、特別感、存在感のあるいい色だなと思いました。車体のラインも濃藍色と金色を使って、白藍色が引き締まる組み合わせになっています。