マインドフルな組織とは、「ん? これは何かおかしいぞ」という小さなモヤモヤとした出来事に対し、意味を探索できる組織です。
ある種、問題が起きることを歓迎できる組織と言っていいかもしれません。問題が起こるのはむしろ見えなかったことが見えたのでいいことであり、問題に向き合うことで、マインドフルな組織に変化していきます。
そのために、一番重要なのは、日頃から「おやっ?」と思うことを感知できるようセンサーを働かせておくことです。
そして、その気づきを他のメンバーと「これは何か?」と考えられるようになることです。
他のメンバーを交えて考えることで、問題がより立体的に見えてきます。
そうすると、問題に対して必要なアプローチの仕方も見えてきます。
しかし、長らく組織の慢性疾患へのセルフケアを怠っていると、感知するセンサーが鈍ってしまっていたり、センサーが働いても「これは何か?」について組織として考えられなくなってしまうことがあったりします。
では、組織の慢性疾患とはどういうものか、どう対処していくことが大切か、本書やこの連載でも紹介していきたいと思います。
【追伸】「だから、この本。」についても、この本について率直に向き合いました。ぜひご覧いただけたらと思います。
【「だから、この本。」大好評連載】
<第1回> あなたの会社を蝕む6つの「慢性疾患」と「依存症」の知られざる関係
<第2回>【チームの雰囲気をもっと悪くするには?】という“反転の問い”がチームの雰囲気をよくする理由
<第3回> イキイキ・やりがいの対話から変革とイノベーションの対話へ!シビアな時代に生き残る「対話」の力とは?
<第4回> 小さな事件を重大事故にしないできるリーダーの新しい習慣【2 on 2】の対話法
<第5回> 三流リーダーは組織【を】変える、一流リーダーは組織【が】変わる
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経営学者/埼玉大学 経済経営系大学院 准教授
1977年、東京都生まれ。2000年、立教大学経済学部卒業。2002年、同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。2006年、明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。
2006年、早稲田大学アジア太平洋研究センター助手。2007年、長崎大学経済学部講師・准教授。2010年、西南学院大学商学部准教授を経て、2016年より埼玉大学大学院人文社会科学研究科(通称:経済経営系大学院)准教授。
専門は、経営戦略論、組織論。ナラティヴ・アプローチに基づいた企業変革、イノベーション推進、戦略開発の研究を行っている。また、大手製造業やスタートアップ企業のイノベーション推進や企業変革のアドバイザーとして、その実践を支援している。著書に『他者と働く――「わかりあえなさ」から始める組織論』(NewsPicksパブリッシング)がある。
日本の人事部「HRアワード2020」書籍部門最優秀賞受賞(『他者と働く』)。2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。