「新人発掘」への注力が
作家の支援につながる背景

 販売する一方で力を注いでいるのが、作家への支援。同社は昨年、出版社・ぶんか社および同社グループの株式を取得した。今後はコンテンツのプロデュース事業も行い、新人発掘活動を広く展開していく方針である。

「電子コミックは業績が伸びていますが、出版業界全体を見ると、漫画雑誌は部数が減り続けています。そのため、新しい漫画が生まれる場所が少なくなり、新人作家がデビューするチャンスが減っているのが現状です。このままでは業界全体が縮小してしまいます。何とかしたいと考え、新人発掘に力を入れるようになりました」

「まんがは電子で読む」人が急増している理由、会員450万人のサイトも?小説投稿サービス「ノベルバ」の人気投稿小説を原作に生まれた漫画。作画は中国出身の添宋(テンソン)が担当した

 その取り組みは、大きな成果を上げている。ビーグリーは「ノベルバ」というライトノベルの投稿サイトも運営している。ライトノベルの新人作家を発掘するためだが、このサイトで人気を集めた原作を、出版社と共同で電子コミック化を進めている。

 2019年には、ここから生まれたコミカライズ『勇者になれなかった俺は異世界で』が話題を集めた。この作品は、中国の新人作家・添宋(テンソン)が描いたものだが、最近の異世界ブームも手伝って、ヒット作になっている。

 出版業界にとどまらず、メディア連携にも乗り出している。この春、日本テレビが放送した「THE TOKIWA」という番組をご覧になった方はいらっしゃるだろうか。日テレとまんが王国が共同で新人漫画家の発掘を目指したオーディションを開催、その優勝者を決めるまでの過程を追った番組である。

「まんがは電子で読む」人が急増している理由、会員450万人のサイトも?日本テレビとまんが王国が共同開催した新人発掘企画「THE TOKIWA」。優勝した主婦の雨崎さん(中央)は、6月にデビューすることが決まっている

「たくさんの応募があり、応募者の才能や意欲を実感しました。優勝を勝ち取ったのは、雨崎さんという33歳の女性です。漫画家のアシスタントとして働きながら、プロデビューを目指していた方。2児のお母さんでもあります。彼女は今年6月、まんが王国でデビューすることが決まりました。『正直不動産』や『クロサギ』の原案者・夏原武氏とタッグを組んで、現在、懸命にデビュー作に取り組んでいるところです」

 惜しくも優勝を逃したアメリカ出身のサーカさんや、会社員として働く峰博士さんも、その実力が認められ、まんが王国でのデビューを目指すことになっている。