半導体の供給危機が春には収まるとみていた世界の自動車メーカーはここに来て、さらに何カ月も半導体不足が続き、下半期の回復も不確実性をはらむと警告している。半導体不足が悪化している主因は、2月の寒波でテキサス州の半導体製造に広範な支障が生じたことと、日本の半導体大手ルネサスエレクトロニクスの工場で3月19日に発生した火災による生産停止だ。これにより世界の供給に穴が空いた。自動車メーカー各社は、車載電子機器や自動ブレーキなどの安全装置、インフォテインメント端末に必要な半導体を求めて奔走している。テキサスと日本で生じた混乱によって、昨年からの半導体不足が一段と悪化している。昨年は消費者向けエレクトロニクス製品の堅調な需要に加え、自動車メーカーが新型コロナウイルス禍からの予想以上に力強い需要回復に備えた半導体発注をしなかったこともあり、自動車メーカーは半導体の供給不足に直面した。このため生産を延期もしくは停止したり、人気モデル向けに半導体を割り当てたりせざるを得なくなっている。
半導体危機、自動車メーカーの苦境深まる
ルネサス工場火災とテキサス寒波が追い打ち、供給不足なお続く見通し
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