【きんざい特別転載】欧米中心に進む海洋エネルギー技術開発Photo:123RF

課題克服が期待される海洋エネルギー

 海洋エネルギーは、海洋資源の環境保全を確保しながら経済成長や社会の向上を図る「ブルーエコノミー」の一翼を担っている。現在は研究開発や実証試験の段階だが、長期的に脱炭素化に資する技術として期待される。具体的には(1)潮流(潮汐によって生じる海水の流れ)、(2)潮汐力(潮汐現象を引き起こす力)、(3)海流(風や太陽熱によって生じる大洋の大循環流)、(4)波力(波のエネルギー)、(5)海洋温度差(海洋表面の温水と深海の冷水との温度差)――などを利用した発電技術がある。

 潮流は太陽と月の引力によって生じる周期的な変動であるため、予測可能で、安定したエネルギー源となる。商用化に近い潮流発電は潮流を利用して主に水車を介して発電する。

 潮位差を利用する潮汐力発電は、水力発電のように満潮時に貯水した水を干潮時に放出してタービンを回す技術で、早くから実用化されている。世界の海洋エネルギー発電設備容量535メガワットのうち潮汐力が98%を占めるが、「ダムの建設が可能で、かつ潮位差5メートル以上」という適地が必要となるため、新規開発は滞っている。