カテゴリー(2)
地域包括支援センターの調査結果

 次に、二つ目のカテゴリーとして「地域包括支援センター」に対する調査の結果を確認したい。そこでは回答数277件のうち、担当する地区内に居住する「ひきこもり状態」にある人を把握しているのは、92.4%の256件に上った。また、把握した方法を複数回答ありで聞いたところ、「当事者の家族からの相談」が最も多く、78.5%の201件。「当事者(本人)からの相談」も13.3%の34件に上った。

 しかも、「担当する地区にひきこもりの状態にある方がいることを新たに把握すること」の頻度については、「年1~2件」が32.0%の82件、「年3~4件」が31.3%の80件、「年5~10件」が23.4%の60件に続いて、「月1件程度」、つまり毎月新たに把握している機関が5.1%の13件あることが分かった。そのうち、「ひきこもり状態にある中高年層(おおむね40歳以上)の方」を把握しているのは、「年1~2件」が37.9%の97件と最も多かったものの、「月1件程度」も、3.9%の10件あった。

 加えて、上記のいずれの設問でも「その他」の中で、「月1件以上」「年間通して10~20件位」と答える機関もあった。見えにくい困りごとや生活の支えを必要としている潜在的な「8050世帯」の実態がうかがえるエビデンスとしても注目される。

「中学校区域にある都内457カ所の地域包括支援センターは本来、高齢者向けの機関なので、ひきこもり状態にある人を把握したことがあるかどうかの調査と、新たにどのくらいの頻度で何人くらい把握しているのかを確認することを目的にしました。都内のどの地域でも毎年把握されている状況から、全区市町村でも必ずお困りの方がいる。相談できない方に、相談できるような体制をつくっていこうというのが協議会の方向性です」(東京都福祉保健局生活福祉部・小澤耕平生活支援担当課長)

 こうしたことから、調査では「高齢の親が収入のないひきこもり状態にある中高年層の子供(おおむね40歳以上)の生活を支え、社会的に孤立している、いわゆる「8050」ケースの家庭への支援にあたり、課題と感じていること」についても、複数回答あり(回答数805件)で質問している。

 それによると、「家族から相談があっても、当事者が相談・支援を望んでいない」が75.1%の208件と最も多く、「相談・支援に至るまで長期間経過しているケースが多く、対応が難しいと感じる」が59.2%の164件、「当事者・家族が抱える悩みが多岐にわたっているため、対応に時間がかかる」が39.4%の109件と続いた。