コンビニ本部“狙い撃ち”で消費者に影響大
勧告→命令→罰金まで規定、混乱は必至

 この法案は、プラスチック製品のリサイクルの推進と、プラスチック製品の使用・排出の抑制を目的として立案されたものであり、プラスチック製品の製造における仕様(法案における用語は「設計」)についての指針に関する事項から、消費者の使用に関する責務まで規定されている。

 つまり、プラスチック製品の使用からリサイクルまで、手取り足取り、努力義務も含めて規制しようという法案だということだ。

 法案の中で特に使用を減らそうとしているのは、コンビニエンスストアや飲食店などでテイクアウトの際に無償で提供されるプラスチック製のスプーンやフォークであり、法案においては「特定プラスチック使用製品」とされている(容器包装に用いられるプラスチック使用製品は除かれる)。

 つまり、法案の主な対象は事業者やその事業活動であり、彼らを通じて消費者の行動にも影響を与えることも狙っていると言える。もっとも、消費者の行動について直接的に規制する内容はなく、あくまでも責務規定にとどまるが、消費者がこれまで通り自由にプラスチック製品を使用できるというわけではなさそうだ。それは、法案の第28条から30条にかけての規定を読むと分かる。

 まず第28条において、使用の抑制のための基準を、各業界の主務大臣が主務省令において定めることとされている。この基準は、事業者がそれに基づいて使用の抑制を行っていない場合の、法案第29条に基づく主務大臣による指導及び助言の実質的な根拠となる(法文上は「勘案して」となっているが)。

 対象となる業種は、「特定プラスチック使用製品の使用の合理化を行うことが特に必要な業種として政令で定める事業を行う者」とされ、これには「定型的な約款による契約に基づき、当該業種に属する事業を行う者に特定の商標、商号その他の表示を使用させ、商品の販売又は役務の提供に関する方法を指定し、かつ、継続的に経営に関する指導を行う事業を行う者」と書かれている。

 一般の読者には分かりにくいだろうが、要するにチェーンのロゴが印刷されたレジ袋やスプーン、フォークをフランチャイズ契約先の加盟店に提供しているコンビニの本部を含むということだ。

 用意周到な表現で確実にコンビニによるプラスチック使用製品の使用を制限、削減しようという意図が透けて見える。

 そして第29条では、各業種・業界の主務大臣は、プラスチック使用製品の排出の抑制のための必要な指導及び助言を行うことができるとされているが、それを行ったにもかかわらず特定プラスチック製品を使用する事業者が十分な対応をしなかった場合には、法案第30条第1項に基づき必要な措置を取るよう勧告することができる。

 その勧告に従わない場合には、同条第3項に基づき事業者名を公表することができ、それでも従わない場合には、同条第4項に基づき、勧告した措置を講じるよう命令することまでできるようになっている。

 そして最終的に、命令に従わなかった場合については50万円以下の罰金に処すと、法案第62条において罰則までしっかり定められているのだ。

 こうなると、主務省令で基準が示された段階で、事実上命令しているに等しいが、省令に事細かに規定することは想定されないので、その運用や解釈を巡ってさまざまな疑義や問題が生じてくるであろうことは容易に推測できる。

 しかも、法案自体は環境省の所管ではあるが、主務省令は関係各府省だ。各業界によってプラスチック製品の使用の実態は異なるわけだから、事業者を含め、現場は相当混乱することになるだろう。そうしたことへの想像力を、小泉大臣はお持ちなのだろうか?