「ねぇ、私はここよ。あなたのダウンジャケットのコートの中。違う、そのポケットじゃない。古いマフィンのカスとくしゃくしゃの薬局のレシートが入ったポケットよ」筆者が頻繁にどこかに置き忘れる職場のIDカードは、こんな風に自分の気持ちを伝えることはできないが(有り難いことに)、装着されたアップルの紛失物追跡装置「AirTag(エアタグ)」(29ドル。日本では3800円)を介してコミュニケーションできるようになった。今は7フィート(約2.1メートル)左の、恐らく別の階にある客室のクローゼットにいると言っている。忘れっぽい人のハイテク救世主とも言うべき紛失防止タグは、新しいものではない。これらブルートゥース(近距離無線通信規格)対応の小型装置は、鍵や財布、バッグ、ペットなど紛失しそうなモノに付けておくと、所在地を手元のスマートフォンに知らせてくれる。この分野のパイオニアの1社であるタイルはiPhone(アイフォーン)とアンドロイドフォン向けの4種類の製品(25~35ドル)を販売している。サムスン電子も同社のスマホ「ギャラクシー」向けに「SmartTag(スマートタグ)」(30ドル)を用意している。アップルはiPhone所有者向けにボトルキャップサイズのエアタグを発売し、世界的な「隠れんぼ」で他社を打ち負かしている。