米国の巨大IT(情報技術)企業は、このところ欧州で課税を巡り勝利を手にしたことで、厄介な現実に直面している。これまでに得た利益に対する納税が少ないほど、今後の利益に対しては増えるかもしれないのだ。欧州連合(EU)の一般裁判所は12日、欧州委員会が米アマゾン・ドット・コムに対し、追徴課税として2億5000万ユーロ(約330億円)をルクセンブルクに納付するよう求めた2017年の指示を取り消す判断を下した。同裁判所は昨年7月にも、米アップルが長年にわたり外国で得てきた利益に対して130億ユーロの追徴課税を行うようアイルランドに求めた指示を退けている。これは最終的な判断とはいかないだろう。欧州委はこの2つの無効判断を不服として上訴するとみられる。それよりもさらに重要なのは、巨大IT各社が外国で得る利益への課税を米国の水準にもっと近づけるためにはルール変更が必要との確信を、これら判断によって欧州が強めることだ。