◇アプローチ先を厳選する

 新規開拓数を半年で2倍にしたいなら、営業しない対象を決めて、アプローチ先を厳選すればいい。ニーズのない客先への営業は非効率だとわかっていても、絞り込みが実践できている人は決して多くないはずだ。

 アプローチ先を厳選するには、エクセルと向き合い、営業リストのセグメンテーション(グループ分け)を行う。まず、全リストからの「直近の契約率」を出してみる。営業先のリスト全体で契約率が3%だったとすると、効率の悪いクラスターをリストから削除して、全体の契約率が6%になるように絞り込んでいく。業界別、従業員数別、拠点数別などといった切り口で分けて計算してみよう。

 このように、新規開拓数を増やすためにまずすべきことは、エクセルと向き合ってアプローチ先を見極めることだ。そうすれば、気合いと根性で行動量を増やす必要はないし、営業スキルを一気に高めるといった理想論も不要となる。

◇「いいタイミングで来てくれる営業」になる

「契約までの売るプロセス」と「契約後のフォロー」において、あなたはどちらのフェーズのほうがお客様に対する熱量が高いだろうか。多くの場合、「契約までの売るプロセス」のほうが熱心になっているはずだ。しかし、売り続ける営業担当者は「契約後のフォロー」で差をつけている。

 お客様からすれば購入後が本番である。トラブルや疑問点があれば、すぐにでも解決したいものだ。ところが、何かあったときに営業担当者の対応が遅かったり、問い合わせしても対処方法が記載されたURLが送付されてくるだけだったりすれば、期待を裏切られたように感じ、不満が溜まってしまう。ここで期待を裏切らないようにするだけでなく、お客様の期待を超えていくことが、トップセールスになる秘訣だ。

 お客様の期待を超えるためには、「エモーショナルコネクション(感情的なつながり)」を計画的に築くことが大切である。エモーショナルコネクションとは、契約等で築く関係ではなく、お互いが喜び・感謝といった感情で築く関係をさす。

 喜び・感謝で関係を築くには、「なんでわかったの? まさに今、困っていたところだったんだよ」とお客様に驚いてもらえるような察知力が必要だ。すべてのお客様にとって「いいタイミングで来てくれる営業」になるためには、思いつきで行動するのではなく、「いつ」「何を」するかをスケジュールに落とし込んでおくといい。製品やサービスの納入前、納入1週間後、1カ月後など、節目ごとにお客様に連絡し、状況を確認して、問題があれば解決を図る。「言われてから」より「言われる前」に行動することが、お客様からの評価を高める鍵だ。