北海道を拠点とするAIRDOと九州を拠点とするソラシドエアが経営統合を検討している。新型コロナウイルス感染拡大による航空需要の低迷と、両社の業績を見れば、特に驚くようなものではない。訪日外国人客(インバウンド)に頼った観光政策に甘んじていた地方経済の回復は、首都圏に比べてさらに遅れるだろう。地方に拠点を置く航空会社を取り巻く環境は非常に厳しい。ただ、筆者は2社の統合に関して、仮にコロナ禍がなくても驚くに値するものではないと考えている。理由は、2社の生い立ちから現在までを振り返ると明白だ。(桜美林大学航空・マネジメント学群教授 戸崎 肇)
インバウンド頼みの観光に甘んじていた地方経済
回復は、首都圏に比べてさらに遅れる
北海道を拠点とするAIRDOと九州を拠点とするソラシドエアが経営統合を検討していることが5月13日、わかった。新型コロナウイルス感染拡大による航空需要の低迷を見れば、特に驚くようなものではない。両社の業績は、2020年4月~9月の段階でAIRDOが約67億円の最終赤字、ソラシドが約54億円の最終赤字に陥っている。
コロナウイルス変異株の猛威は予想以上で、航空需要の本格的回復は、これまでの予想以上に長引く可能性が高い。特に訪日外国人客(インバウンド)に頼った観光政策に甘んじていた地方経済の回復は、首都圏に比べてさらに遅れるだろう。地方に拠点を置く航空会社を取り巻く環境は非常に厳しい。
ただ、筆者は2社の統合に関して、仮にコロナ禍がなくても驚くに値するものではないと考えている。理由は、2社の生い立ちから現在までを振り返ると明白だ。