AIRDOとソラシドエア共同持ち株会社の設立による経営統合の検討が取り沙汰されている航空会社のAIRDOとソラシドエア Photo:PIXTA

5月13日、北海道を拠点とするAIRDO(エア・ドゥ)と九州を拠点とするソラシドエアの航空会社2社が、経営統合を検討しているという再編話が取り沙汰されました。新型コロナウイルスの感染拡大によって経営環境が急激に悪化している航空業界ですが、実は2社が属する新興航空会社・格安航空会社(LCC)の業界では、数年前から生き残りを懸けた激闘が繰り広げられていました。そこで今回は「週刊ダイヤモンド」の過去記事を抜粋し、当時を振り返ります。

「週刊ダイヤモンド」2017年11月4日号の第1特集を基に再編集。肩書や数字など情報は雑誌掲載時のもの

ANAファミリーが増加
新興勢&LCCの生き残り策

「関空、那覇に続いてこの秋の仙台、そして来年は新千歳も拠点化する。地方と地方をつないで、新しい需要をどんどん生み出す」(井上慎一・ピーチ・アビエーションCEO)

 日本でLCC(格安航空)が始動してからはや5年。業績面でトップを独走するのがピーチだ。2012年の就航からわずか4年で累積損失を解消し、4期連続の増収増益。営業利益率は大手も顔負けの12%強を誇る。路線拡大に合わせてエアバスの新型機材を13機発注するなど勢いに乗っている。

 そんなピーチと双璧を成すのがジェットスター・ジャパン。1日100便以上を運航し、国内LCC勢で最大シェアを誇る。だが性急な拡大路線がたたって巨額の赤字に陥り、累積損失は300億円に上っている。黒字化したが営業利益率は2%と低空飛行が続く。

 実はこの2社、それぞれANAとJALの出資により誕生した。欧米に続きアジアでもLCCが台頭し、顧客が奪われることを懸念した両社は、自らLCCを立ち上げて抱き込む戦略に出たのだ。

 しかしその後の明暗は分かれた。これにはLCCへの「本気度の違い」が影響している。