誤解して自粛を解くと危ないが
接種者数が多ければ中国製でも効果

 チリの接種率は40%であるが、有効率が95%であれば人口の40%×0.95=38%の人が免疫を持つ。だが有効率が50%であれば、20%の人しか免疫を持たない。2割の人しか免疫を持っていないのに、4割の人が免疫を持ったと誤解して自粛を弱めたら、感染は拡大するだろう。しかし、直近、チリでも感染者数の低下が見られる。多くの人が接種すれば、ワクチンの有効率が低くてもそれなりの効果はあるのだろう。

 では、日本はどうか。ご存じの通り、接種率が低い中で感染者数が増加している。韓国を見ると、接種率が低いのは同じだが、感染者数はなんとか抑えられているようである。入国時の水際対策が成功しているからではないだろうか。

 以上述べたことはコロナ感染症のSIRモデルで予測できた。テクニカルな説明は原田泰『コロナ予測「SIRモデル」の意義と限界:感染者予測ではなくワクチン効果の議論に』2021/04/15、にあるが、要するに、感染者は指数関数的に増加するが、感染者が増えるとともに免疫を持つ者が増え、やがて感染は収まるというモデルである。

 一度感染した者は原則として免疫を持つか死亡して2度と感染しなくなるので、感染者は減少していくというものだ。このモデルの意味するところを示すために、簡単な図を示しておく。


 上図は、新規感染者数、累積ワクチン接種者数、免疫者数を示したものだ。前提として1人の感染者が何人に感染させるかという実効再生産数を1.54、ワクチンはイスラエルの7割ぐらいのスピードで打てるとしている(詳しくは図の注を参照)。これまでの議論の流れから理解しやすくするように、人口は100万人としておく。